研究テーマの紹介
物質に光が当たると、 再び光となって出てきたり(発光や光散乱)、電子を飛び出させたり(光電効果)、
電気信号になったり(光伝導)、イオン・原子・分子の位置を変えたり(光誘起構造変化)、
物質の分解や化合をおこしたり(光化学反応)、と様々な物理・化学現象を引き起こします。
本研究室では、レーザー光のもつ様々な性質を利用して、光と物質に関わる基礎から応用までのいろいろな研究に取り組んでいます。
半導体や有機結晶超微粒子の光物性
量子閉じこめの世界!〜超微粒子(量子ドット)とは〜
どれくらいの大きさでしょう?…大きは1〜数10nm(ナノメートル)程度です。ここで1nmは1mの10億分の1の大きさです。
何がおもしろいのでしょう?
…通常の大きさの半導体では見られないような、ミクロな世界特有の現象(量子力学に支配された現象)が見えるようになってきます。
たとえば…

このような面白い性質を持つ超微粒子一個一個の性質を詳しく調べるために、本研究室では、レーザー顕微分光法、近接場分光法や超高速時間分解分光法などの先端的手法を駆使した研究を行っています。
新しい光機能性材料の探索
光で磁石をコントロール! 〜半磁性半導体の光物性〜
この研究では、半磁性半導体(半導体と磁性体を混ぜた性質を持つ物質)であるCdMnTeに光を当てることにより、その磁気的性質を制御することを目指しています。いわば、光によってコントロールされる磁石を作ろうという研究です。
CdMnTeのおもしろい性質
レーザー光の色を変える鏡! 〜新しい波長変換素子〜
半導体と誘電体の多層膜構造を作ることで、レーザー光の波長を変換して反射する素子の原理を考案し、その動作を実験で確かめています。この発明を使うと、赤いレーザー光を青や紫外線の光に変換して反射する鏡を作ることができます。
新しい分光測定法の開発とその利用
光学顕微鏡の分解能を越える!〜近接場分光法〜
近接場光(エバネッセント光)とは、波長よりも小さな光源から出る局在した光のことです。
従来の光学顕微鏡では、光の回折(光が波として回り込む現象)により、その分解能が制限されていました。近接場顕微鏡を用いると、従来の光学顕微鏡の限界を越えた超高分解能で、光を用いてミクロ世界を探ることが出来ます。本研究室では、この近接場顕微鏡を用いて、超微粒子やフォトニック結晶(光の波長程度の大きさを持った構造を周期的に並べた物質で、光に対して特異な応答を示します)の性質について研究しています。
近接場光学顕微鏡(SNOM)

左:凹凸像(AFM像)、右:発光像(SNOM像)
超広帯域THz電磁波の発生と検出〜アンテナによる赤外光の検出〜
以上は、伊藤研究室で進められている研究のほんの一部です。本研究室では、これら「光と物質との関わりの解明」と、それを応用した「新しい光機能物質の開発」をテーマに、日夜研究を進めています。